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2012年2月 4日 (土)

私,皆と繋がっていたいよ~.hack//The Movie ドットハック セカイの向こうに語り~

 「私,皆と繋がっていたいよ!」

 3Dアニメ映画「ドットハック セカイの向こうに」は,「.hack」シリーズ 3rd SEASON PROJECTの最新作です.本当の意味で,シリーズ初の劇場アニメ作品です.

 内容としては,「ネットゲームとは無縁だった女子中学生の主人公がTHE WORLDにハマっていき,やがて世界規模の事件に巻き込まれる」というもので,「THE WORLDで意識不明になった友人を助け,世界を救う」という「.hack」シリーズのお約束のストーリーでもあります.

 ストーリーの流れは↓の通りでした.

  1. クジラ座礁事件→そらの日常(周りで流行するTHE WORLD)→THE WORLDについての情報収集をまことさんに頼む
  2. じぃじ(武生)がTHE WORLDをプレイしている事を知る→まことさんがカイト(PC)を作成
  3. 田中がそらにFMDを貸す→初ログイン→アウラ,ウィルスバグと遭遇→アウラに種(分身)を渡される→ソフィアがウィルスバグを駆除→NABが観測
  4. THE WORLDでクラスメイトに会う→ゴンドーを智彦と勘違いする
  5. THE WORLDでの冒険→カイトのデータ容量増大(アウラの姿を見る)
  6. 幽霊の少女(アウラ)についての話
  7. カイト(そら)がバルドルに告白される(そらは田中に告白されたと誤解)
  8. 再度ウィルスバグに遭遇→ソフィアがウィルスバグに破壊される→アウラ(種)の力でウィルスバグが消滅
  9. デビッドがそらに会いに来る→そらが田中を問い詰める(告白されたと誤解しているため)
  10. 田中が意識不明になる→デビッドと会話(作戦会議)→じぃじと会話→ネットワークに異変が発生し始める
  11. 決戦→そらがブラックボックスに到達→アウラに会う→アウラが進化→ネットワーク正常化
  12. 智彦が改めてそらに告白→そらの誤解が解ける→スタッフロール→エピローグ

 アニメ映画としての感想としては,「予備知識無しの初見の人でも楽しめると思える」「シリーズのファンは裏に隠された設定を予想できたり,小ネタに気付いたり,違う楽しみ方ができる」という感じで,監督(松山洋社長)の言葉通り,本音はファンの皆のために作った作品だと思えました.例えば,ウィルスバグ.初見の人にはよく分からないもの=恐怖の対象として理解し易い形の敵ですが,ファンの人は禍々しき波を想起する形状ですよね.ウィルスバグが通常のモンスターとか,八相とか,クビアとか,そういう個性を持った存在ではなく,何かよく分からないものとして描写されていたのは素晴らしいと思います.

 「.hack」シリーズとしての感想としては,ストーリーが綺麗にまとまってて凄く良かったと思います.紛れも無い「.hack」の世界でした.何より,こんなネットゲームで遊んでみたいという気持ちになれました.

 3Dに関しては,見ていて疲れはしませんでした.これ以外を見た事が無いので,3D映画としての出来はよく分かりません.手前より奥行きの方が凄かったのかな.

 中学生の青春ストーリーとして,中学生らしいなぁという行動,やり取り,リアクションが端々に見えて面白かったです.田中に対するそらの態度とか,智彦の中二病的行動とか.

 主人公の結城そらについては,序盤ではTHE WORLDに対して抵抗感を持っていたのに,中盤ではすっかりハマっていて,終盤では世界を救いたいと本気で願うという変化が良いですね.

 リアルとネットでどの様に差があるかがはっきりと分かるのも本作のポイントでした.リアルとネットでキャラがはっきり違ったり,ロールはしているもののあまり変わってなかったりするのは面白いです.

 最初の些細な誤解がきっかけでそらがバルドルとゴンドーの中の人を勘違いして,それが最後の最後まで解消されないという構成も良かったです.笑わせて貰いました.ネットにリアルを持ち込まないのが基本的なマナーというのが根底にありつつ,田中が意識不明になってからは,智彦は父親が事故ったので病院に行ったり,バルドルとして艦隊指揮を取っていたりしていたので気付く機会が無いというのも無理がない展開でした.告白の翌日,そらにいつも通りそっけなく挨拶を返されて智彦が唖然とするシーンや,勘違いしているそらが田中を問い詰めるシーンはニヤニヤできて面白かったです.

 一番の見所は,終盤の展開,最後の決戦(艦隊戦)でした.

 バルドル(智彦)の呼びかけでTHE WORLDに集結するプレイヤー達……知り合いから知り合いに繋がっていき,大規模な戦力になるという展開は非常に良かったです.年齢,性別,場所に関係無く繋がっていき,“世界”を救うというのは,正に「.hack」,THE WORLDでした.一番あり得ないと思われてたじぃじ(タケ!)と良い戦友になっている辺りが特に.「僕たちは,思ってる以上につながってるのかもしれない.」という言葉が正にこの映画で一番重要な台詞でしたね.

 艦隊戦という大規模な戦闘も迫力満点で,劇場3Dアニメとして合っていたと思います.大人数が戦闘に参加しているのがはっきり見えるのはシリーズ初とも言えますね.今まではどんなに多くのキャラが協力していたとしても,こちら(観る側)からは見えないし,個人戦的な色合いの方が強かったと思います.また,戦艦がウィルスバグに取り付かれたら,白兵戦で戦っていたのも良かったです.

 天地が割れてウィルスバグがわらわらと出てくるのは絶望感たっぷりでした.飛空艇からの落下したカイト(そら)をダーシャが小型飛空艇(バイク型)で助けたり,バルドルが艦隊を率いて登場したり,ウィルスバグにバルドルが戦艦で特攻して道を作ったり,ピンチと救援の連続は熱かったし,感動しました.最高でした.手足を引き千切りながらブラックボックスに到達するカイト(そら)は格好良かったですね.紋章が赤く光るのが良いです.

 そして,ブラックボックスに到達し,アウラに会った時のカイト(そら)の台詞「私,皆と繋がっていたいよ!」に涙腺崩壊レベルの感動を味わいました.ネットワークの正常化と流れる挿入歌「つながるセカイ」の組み合わせは非常に良かったです.ネットワークの異常で真っ暗だった街に灯が戻っていくのがたまりませんね.

 個人的なポイント.↓

  • 近未来な世界設定のさじ加減が凄い.完全なコードレス,ペーパーレス,キャッシュレスはあり得そうなライン.サーバロボは確かにオーバーテクノロジー.
  • ソフィアとウィルスバグとの戦闘シーンが最高.ソフィア格好良い.指揮官型の重火器がたまらない.ウィルスバグに取り込まれたソフィアの描写も良い.
  • じぃじが作中最強の萌え/燃えキャラ.PCタケ!が格好良過ぎる.
  • ダーシャが格好良かった.リアルの戸倉とのギャップも良い.実はパーティの紅一点だからか,エロい.
  • まことさんが良いキャラしてた.サーバロボなので機械的でしかないけど,そらとの絡みを見ると自我がある様に見えてしまう.THE WORLDのサーバに負荷をかけ,カイト以外を停止させる作戦のコンダクタとして利用されるのが良い.最後まで重要なポジション.
  • デビッドが面白かった.悪人面なのに,変な関西弁で,鼻炎持ちという美味しいキャラ.点鼻薬を挿すのが笑いを誘う.事件が終わった後のは本当に清々しい印象を受けた.

 その他,感想を列挙.↓

  • モブも含めてキャラ多いのに,それぞれが個性的に動いている.主要人物の仕草が細かい.バルドル(智彦)とゴンドー(田中)はネットとリアルでそれぞれ同じ動作を出すシーンが用意されている.
  • 声は不自然に感じなかった.智彦⇔バルドルと田中⇔ゴンドーへのシフトも良い感じ.
  • マサル・セブンは性別以外結構そのままに見える.ネットとリアル共に良い友人.
  • 小ネタ満載.THE WORLDやソフィアのCM.ネットニュースとか.商品とか.ALGOS社のロゴもあった.
  • 「私はまことさんで良いから」◎.
  • バナナに納得の大爆笑.まったりバナナ.双剣のモーション(効果音付)をバナナでするのは反則.
  • 序盤のアウラがウィルスバグをシールドで弾くシーンが良かった.
  • カイト(そら)がマサル・セブンとダーシャと一緒にプレイしているシーンは好き.その後,同型のボスをカイト(そら)1人で倒せる様になっているのが良い.
  • THE WORLDが主人公達が生まれる前からあるゲーム……完全に世代交代してるのは印象的.
  • ソフィア=アウラのパチモンというのは面白い.
  • アウラからそらに渡されたアウラの種(分身).そらの脳波とアウラの波長が同調しているという設定は好き.感情に反応して種が変化しているのも分かる.アウラを進化させるため,アウラに会いに行く事が勝利条件なのは良かった.
  • そらがじぃじに「私,やる」と決意するシーンは格好良い.感動.
  • ブラックボックスがアウローラ像の頭上にあるというのは良い.
  • スタッフロールで,まことさんがファイルを展開→アウラの種が登場→段階的に変化→最終状態になる→エピローグでアウラの手の中にあるという描写は良い〆.
  • 数々の偶然だと思われる事象はどこまで偶然なのか気になる.クジラ座礁,テストの送信エラー,まことさんによるカイトのキャラメイク等々.
  • 主題歌,BGM,挿入歌が非常に好みで良かった.

評価:10 / 10 (劇場で見るべき)

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 「僕たちは,思ってる以上につながってるのかもしれない.」

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コメント

いつも詳細なレポート、ありがとうございます。やっと昨日、観に行けましたよ。面白かった☆
でも、名古屋では夜と夜中(!)の2回興業なので、子供は全くいなかったですね。20~30歳台がほとんどって感じでしょうか。
その中で、女性4人のグループがいたんだけど、そのうちの一人が帰り際に「わたし、月長石を探してたんだけどさー…いなかった」ってしょげてたのが印象的でしたね。うん。

そうそう、バナナはいいよね。あれって、4コマの「がび」のパロディだよね、きっと。いやはや、やってくれましたね。

私は、後半の艦隊戦が一番感動しました。特にバルドルの指揮のあたりでは、もう泣きそうでしたね。恥ずかしい…
CC2、いい仕事しますね。

さて、私はこの映画で一番気になったのはまことさんでした。彼(彼女?)は、なぜ「カイト」を選んだのでしょうか?それとも、誰かに選ばされたのでしょうか?この部分だけはとても不自然に感じました。

また、カイトという名前の謎もあります。マサルセブンの例からわかるように、同じ名前のPCは作れないはず…。今まで、誰もあの伝説のPCの名前を付けようとしなかったのでしょうか?私には、そんなことはあるはずがないと思います。
勝手な想像ですが、「カイト」というPC名は、永久欠番のように登録不可の名前なんじゃないかな…と。それを、誰かがそらに与えたんじゃないかな?なんて考えました。
いや、こういうこと考えてると楽しいよね。(*´Д`*)

あとはデビッドかな?
以前、日本にいたことがあるようなこと言ってませんでした?ということは、昔のTHE WORLDにログインしてた可能性があるわけで…。ひょっとして、あの人?とか考えると、また楽しいですよね☆彡

映画と同等のクオリティで、本物のTHE WORLDをプレイしたくて仕方ありません。開発中のゲーム、オンラインだといいな~happy01

投稿: ゆっぴ~ | 2012年2月 5日 (日) 16時59分

 ゆっぴ~さん,コメントありがとうございます.

 レス代わりに妄想・考察記事を書きました.記事へのリンクを入れておきます.

投稿: srlinks | 2012年2月 7日 (火) 21時08分

見に行ける範囲での映画館で上映されない為、見れていない
のでレポート本当に助かります。

大まかな流れを書いて下さっている中と上映前にどこかで
得た情報で気になる点があるのでコメントしてみました。

前にここだったか公式ページだったか忘れたんですが、
映画の中で今後の展開に関わる重要人物がいるので、
それを忘れるな的な情報を目にしたんですが、それって
誰なんでしょ?

というのが一点、

あとは、上記のゆっぴ~さんのカイトの件についてウチ
的な考えを書いてみようと思います。

なんでカイトの名前をもっと前に他の人がつけなかったのか
という点は、もしかしたら、今回のバージョンのTheWorld
ができた時すでにカイト(そら)のPCが「作られていた、
ないしは存在していた」為、他のユーザーがつけようとして
もはねられたのではないでしょうか…。

つまりは最初からそらに渡るべくして渡ったPCだった

と思います。レポートからの映画内容とあいまって同じ
脳波の者を探していたわけだから(というよりもう既に
同じ脳波の者が分かっていた、探し出す過程はQに出て
きた技術だと思います)そらに渡すべくして渡したの
だと思います。

個人的な考えをもうちょっと言うと、カイト(そら)の
データはLink終了の時点で出来ていた(まことさんである
○○が持っていた)のではないかと思ってます。

(個人的に大事なのはまことさんがそらの傍についている
こと自体だと思うんですよね…)

でも、今回の映画(レポートだけだからどうとも言いにくい
のは確かですが)でもやっぱり気が付きにくい疑問が入って
ますよね…ズバリ言えば過去作品と同じような…

思っている以上に繋がっているかもしれない…

この一言って個人的には「六次の隔たり」のことを現してる
言葉だと思うんですがどうでしょ

投稿: ルーシー・モノストーン | 2012年2月11日 (土) 16時11分

 ルーシー・モノストーンさん,コメントありがとうございます.

> 映画の中で今後の展開に関わる重要人物がいるので、
> それを忘れるな的な情報を目にしたんですが、それって
> 誰なんでしょ?

 多分,デビッドの事ではないかと思います.正答かどうかは自信ありません.

> この一言って個人的には「六次の隔たり」のことを現してる
> 言葉だと思うんですがどうでしょ

 制作側……脚本は意識しているのかも知れませんが,作中ではそんなに難しい話は出てきません.思い返してみると,「目的も無しに映画館に行って,面白そうだからその作品を観たけど,何の予備知識も持っていなかったのに凄く楽しめた」という感想が出る作品だったと思います.

 なお,カイト云々に関しては,↓のURL先の記事に私の考えを書いています.(Quantumとの関連については特に考えていませんでしたね.そう言えば.)

http://six-percent.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-91ec.html

投稿: srlinks | 2012年2月11日 (土) 21時42分

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